いざ理学療法士(PT)として医療現場で働き出すと、患者さんが思うように回復しなかったり、同僚や他職種とのトラブルで悩むことは多いと思います。
また給料の低さや将来性が怪しい点など、理学療法士という職種を取りまく状況に不安を抱くことも多いですよね。
そのため「理学療法士、辞めたいな……」と自然と感じるようになってしまいます。
これまで何度、辞めてしまいたいと思ったことか
とはいえ、みんなが同じ状況で頑張ってるのに自分だけ辞めたいとか甘えじゃないの?と悩む人も多いんじゃないでしょうか。
そこで本記事では、現在「理学療法士を辞めたい」と思い悩む人に向けて、15年目PTの筆者が今後どう考えて進んでいくべきかを示していきます。
今回は理学療法士30名にもリアルな声を聞き、その結果も紹介しているので参考にしてください。
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理学療法士を辞めたいと感じるの甘えじゃない
まず結論を言うと、理学療法士を辞めたいと感じるのは普通のことで決して甘えではありません!
リハビリ科のトップとして、これまでも部下に「辞めたい」といった相談をされることは多くありました。
また筆者自身も15年というPT人生のなかで、少なくとも3回は辞めたいと感じたことがありました。
リハが全然うまくいかず、申し訳なさから辞めたくなったな
筆者の場合は自分のスキルのなさが原因でしたが、同僚や他職種との人間関係や給料面などさまざまな理由で辞めたいと口にするPTをみてきました。
意外と辞めたい人は多い
SNS上では、理学療法士辞めたいとつぶやく人は多くいます。
「理学療法士 辞めたい」で検索すると、実に多くのつぶやきがありました。
特に1年目〜5年目までの若手の理学療法士で辞めたいと悩んでいる人が多くいるのに驚きました。
辞める人もわりといる
下図は理学療法士の離職率を示したものですが、ひとつの職場で10〜20%近いのPTが1年で辞めています。
理学療法士の離職率(1年間で辞める人の割合)
医療従事者の需給に関する検討会(H28.理学療法士・作業療法士需給分科会)
- 医療施設:10,2%(10人に1人が辞める)
- 介護施設:18,8%(5,4人に1人が辞める)
このように理学療法士では、意外と多くの人がその職場を辞めたり、理学療法士を辞めていることが分かります。
以上のように多くの理学療法士を辞めたいと感じたことがあったり、実際に辞めています。
なので辞めたいと感じるあなたは決して甘えではなく、ごくごく普通のことなので自分を責めたりはしなくてOKです。
理学療法士を辞めたいと感じるよくある理由
覚悟をもって医療の道を選んだ理学療法士が辞めたいと感じるのには、それなりの大きな理由があります。
ここでは理学療法士が辞めたいと感じる理由を解説していきます。
それぞれ解説していきます。
リハビリが上手くできない
臨床では病態把握が難しい患者さんは多く、上手く治療介入ができず、なかなか身体機能・ADLが回復しないケースは多々あります。
そんな思うように良くならない状況が続くと、患者さんに申し訳なさを感じ介入するのも怖くなりますよね。
先輩からはダメ出しをされ、医師からも詰められると不甲斐なさを感じ「自分には合っていないんじゃないか」と思うように……。
自信がなくなって辞めたくなっちゃうよね
リハビリが上手くいかず、患者さんに申し訳ないと悩み「辞めたい」と感じるようになる人は実に多いです。
なにより筆者もリハビリが上手くいかず、自分にはセンスがないと辞めたくなった過去があるので、よく分かります。
人間関係に疲弊する
特に経験年数が少ない頃は、先輩PTからダメ出しされたり、叱られたりで気持ちが落ちる場面は多々あります。
リハビリ以外でも、怖いドクターや看護師とも情報共有で話させないといけなくストレスは溜まりやすいです。
またスタッフ同士の仲が悪くピリピリする部署もあったりと、人間関係に疲弊して辞めたいと感じる人が多くいます。
人間関係のわるさはストレス溜まるよね
実際に人間関係に疲弊して、病んでうつや適応障害と診断された方を数名みてきました。
給料・待遇がイマイチ
医療職は給料が高いイメージを持つひとも多いですが、いざ働いてみると給料の安さに驚くひとも多いです。
そもそも理学療法士の平均年収は世間一般の平均よりも低いというのが実情……。
平均年収の比較
理学療法士 | 全労働者 | |
---|---|---|
平均年収 | 426,5万円 | 443万円 |
国家資格なのにまさかの安さだよね
また同じ医療職でみても理学療法士の給料の安さは際立っています。
医療職の平均年収
平均年収 | |
---|---|
リハビリ職 | 427万円 |
医師 | 1,378万円 |
看護師 | 499万円 |
薬剤師 | 581万円 |
放射線技師 | 547万円 |
臨床検査技師 | 496万円 |
PTだけ飛び抜けて安いよね
上記のように理学療法士は、仕事が大変なわりに給料が安く生活が厳しいことからも、辞めたいと感じる人が多いです。
さらにサービス残業・書類業務の多さや、有給が取れないなど待遇面のわるさも辞めたくなってしまう原因に挙げられます。
頑張りが反映されにくい
理学療法士は新人だろうと、大ベテランだろうと診療報酬は一緒なので稼げる額は全く同じ。
なので、どれだけリハビリでの改善率が良かろうが給料に反映されないのが実情です。
むしろ基本給が安い若手の方がありがたられることも
頑張って勉強してスキルを上げても資格をとっても、それが給料という形に反映されないため、やる気が出ず辞めたいと思う人も……。
やりがいを見出せない
いざ医療の現場で働き出すと、思い描いていた理想と現実のギャップに悩むことも多いです。
医療界の厳しさや現実に直面したり、前述の人間関係の煩わしや、頑張りが給料に反映されない現状などに疲弊する人は多いです。
そうするなかで理学療法士としてのやりがいを見出せなくなって、辞めたいと感じるようになります。
決して楽な仕事じゃないしね
理学療法士を辞めたいと感じたときに一番にすること
理学療法士を辞めたいと感じたとき、すぐに行動をするのではなく、まずは以下3点を意識してみましょう。
原因を明確にし相談する
まず辞めたいと感じたときにすべきことは、なぜ辞めたいのかを明確にすること。
- 治療技術の不足による不甲斐なさ
- 患者とのコミュニケーション
- 職場の人間関係
- 今いる分野があっていない
- PTのやりがいを見出せない
辞めたい原因ひとつで次に取るべき対策も変わってくるので、まずは自分がどの問題で悩み辞めたいのかを明確にしていきましょう。
問題がはっきりすることで、次にすべきことも見えてくるよ
辞めたい原因が明確になり、辞めることでその問題が解決するなら1年目とか関係なく辞める選択をしてOKです!
信頼できる人に相談する
人と話すなかで、自分がなぜ辞めたいのか、またその解決策が何なのかが明確になることはよくあります。
また話をしていくことで、まだ辞めずに解決できるかもと気づきを得ることもあります。
いきなり上司に話をするのはハードルが高いので、まずは同僚や家族など近しい人に相談しましょう!
言葉に出すことで、すっきりすることも多いよ
次の選択肢を用意しておく
色々な悩み・トラブルから辞めたいと感じていても、すぐにはその問題から逃れることは難しいです。
そのため時間が経てば、最悪メンタルをやられ何もする気すら起きなくなることも……。
そうなる前に、早い段階で次の選択肢を用意しておくことはめちゃくちゃ重要です。
くわしい対策は、こちらの記事で解説しています。
理学療法士を辞めたいときの解決策
もし理学療法士を辞めたいと思っても、まずはすぐに辞めるのではなく、働き方などを工夫して悩みが解決するかみるのがおすすめです。
それぞれ解説していきます。
勉強してスキルアップ
リハビリをして、目の前の患者さんが良くなっていく姿をみると自信にもなりますしやる気もアップします。
そのためには、やはり理学療法士としてのスキルアップは必須です。
感覚的にうまくリハビリができる天才肌の人もいるかもですが、やはり僕たち凡人は勉強して知識・技術を磨いていくしかないんです。
大変だけど、一歩ずつ成長していくのが王道だよ
最近ではオンラインセミナーがすごく便利で、すきま時間でサクッとスキルアップできる環境が整っています。
リハビリ向けのオンラインセミナーは数多くありますが、中でもリハノメはコンテンツ数や講師の質など総合的が高いです。
スキルアップを図ってよくできる患者さんを増やしたいなら、リハノメを活用してみると良いでしょう。
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リハノメの詳細は、こちらの記事で紹介しています。
部署を異動してもらう
もし勤務する病院で、急性期や回復期などリハビリの部署がいくつかあるなら、異動をお願いするのもありです。
部署が異動になると、人間関係も一新されてストレスが大きく緩和することはよくあること。
さらにその異動した部署が、もしかしたらあなたにあう分野であれば、一気にやる気がアップして、辞めたいと感じなくなることも!
ちょっと環境が変わるだけで、PTを続けていけることもあるよ
またグループでいくつか施設をもっているようであれば、別の職場への異動をお願いするのもありです。
転職して新たな場所で働く
理学療法士を辞めたくなっても、職場を変えるだけで心機一転して続けていけることも少なくありません。
職場が変われば人間関係、働く分野もリセットできるので、新卒のような新たな気持ちで働けます。
一からのスタートを切れるよ
ただ次に働く職場選びは失敗したくないので、職場の雰囲気や人間関係もしっかり見極めたいところ。
とはいえ、ひとりで内部情報まで調べるのは難しいと思うので、そんな時は転職サイトのレバウェルリハビリを活用しましょう。
レバウェルリハビリは、スタッフが実際に職場に足を運び雰囲気や人間関係をチェックし、その情報を教えてくれるので失敗しない職場選びができます。
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休職して一旦リフレッシュする
部署異動や、転職でも理学療法士を辞めたいという気持ちが変わらないなら、休職してリフレッシュするのもありです。
無理して心身に不調をきたす前に、一旦離れてみるのが得策です。
別の仕事へ転職もありですが、まずは休職して今後のキャリアプランなどをゆっくり考えてみると良いでしょう。
休職中も、傷病手当である程度の収入は確保できるよ
理学療法士を辞めたあとに後悔しないための注意点
前述の方法,を試してもなお、理学療法士を辞めたいと感じるなら、退職という選択肢を考えていきましょう。
ただ理学療法という仕事を辞めるという選択をしても、後悔がないようにしたいですよね。
「理学療法士やめてよかった」と言えるために、以下の3点に気をつけましょう!
- 退職後のプランを明確にしておく
- 他の職場も見ておく
- 事前に資格取得など準備をしておく
なかには勢いにまかせて辞めてしまうい、その後の苦労を聞くことも多いので、特に退職後のプランをしっかりと決めておくのは重要です。
計画性をもって決断しよう
実際に理学療法士を辞めて、今は別の仕事で頑張っている元PTの方へのインタビュー記事もあるので参考にどうぞ。
元PTのリアルな本音は、こちらの記事で紹介。
理学療法士を辞めたい理由と解決策まとめ
本記事では、理学療法士が辞めたいと感じるのは甘えなのか?
そして辞めたいと感じる理由から、辞めたいと感じた時の対策・解決策、さらには辞めた後に後悔しない方法まで解説しました。
理学療法士がやめたいと感じる理由でよくあるのは以下の5点。
ただ理学療法士が辞めたいと感じるのは決して甘えではなく、多くのひとが感じる普通のこと。
なので変に自分を責めたりしなくてOKで、しっかりと対策していけば問題ないです。
また仮に辞めるとなっても、キャリアプランを決めた上で行動すれば後悔することもなくなります。
続けるにせよ辞めるにせよ後悔ないようにしよう!
今回は以上です。